企業ではさまざまな研修を行っていますが、その効果を可視化できていないケースが見られます。実施した研修を従業員や企業の成長につなげるためには、研修効果を見える化し、そのデータに基づいてさらなる教育を施すことが重要です。ここでは、そのための手段をまとめていますので、目を通しておいてください。
アンケートは、研修効果を可視化する方法としてごくベーシックな方法です。研修終了後に受講者向けのアンケートを配布し、「研修内容は分かりやすかったか」「内容を理解できたか」「講師の満足度」「スケジュールは適当だったか」といった質問に答えてもらいます。
このアンケートを集計・分析することにより、研修の効果や満足度を計測することが可能。また、今後の研修をより良いものにするための課題や改善点も見えてくるでしょう。
研修による知識・スキルの習得度を測る方法として、利用されているのがテストです。研修内容をテスト形式にして受講者に出題し、どの程度理解しているかをチェック。とくに、コンプライアンス・業務知識といったインプット系の研修で有効とされています。
テストには「受講者に覚えて欲しいこと」「とくに重要である事項」を盛り込み、研修内容を振り返りながら回答できるものにすると効果的。単純な選択問題だけでなく、内容を理解しないと答えられないような記述式問題を取り入れるのも良いでしょう。
「ドナルド・カークパトリックの4段階評価法」とは、アメリカの経営学者であるドナルド・ L・カークパトリックが提唱した研修の効果測定法。教育の評価法をまとめたモデルで、企業研修の効果測定方法として幅広く用いられています。
その名の通り、「Reaction(反応)」「Learning(理解)」「Behavior(行動)」「Results(結果)」の4つのレベルで教育効果を測定。これにより、受講者の満足度・理解度をはじめ、行動変容や業績の変化についても評価できるようになります。
レベル1で測定するのはReaction(反応)。これは、研修を受けた受講者がどれくらい満足したかを評価する指標です。この反応を見るために活用されるのが、アンケートやヒアリング。
「研修のどこが良かったか」「講師の話を理解できたか」「何をもっと学びたいか」などをアンケートで回答してもらい、次の研修への準備や改善に活用します。また、担当者が受講者に直接満足度をヒアリングし、研修の感想を聞き取るといった方法も用いられます。
レベル2はLearning(学習)。研修で受講者が何を学習したのか、その効果を測定します。この測定に用いられる方法が「テスト」。研修内容を盛り込んだテスト問題を出題し、受講者に回答してもらいます。この成績により、どれくらいの知識・スキルが身についたかを測ることが可能です。レベル1の評価が高くても、レベル2の成績が悪ければ研修の意味がないため、どうしたら満足度・学習到達度ともに上げられるかを検討することが重要です。
レベル3のBehavior(行動)は、受講者が研修で身につけたことをどれだけ職場で実践できているかを評価するもの。この評価方法として利用されるのが、回顧調査です。回顧とは、研修から一定期間が過ぎたあとで内容を振り返ること。具体的には、研修後1ヶ月~1年後を実践期間とし、その後、研修で学んだことを活かせているかをインタビュー・調査します。このレベル3で受講者に行動変容が見られない場合は、研修の効果が低いという評価となります。
レベル4のResults(結果)とは、研修を受けた受講者の行動が、どれだけ企業の業績に影響したかを測定するものです。研修の投資対効果(ROI:Return on investment)は、このレベル4に含まれます。
具体的な指標となるのは、企業の売上高といった数値化できるもの。しかし、売上については研修効果だけでなく他の要素も影響してくるため、売上高が良かったからといって研修効果があったとは言い切れません。そのため、レベル4については実質的に測定を行わない企業も多いようです。
研修を行った場合には、その効果を見える化して社員へフィードバックすることが大切です。研修効果の見える化は、社員の自己成長を促す大事な要素だからです。社員本人だけではなく会社側もまた、研修の費用対効果測定や研修システムの見直しに役立てることができます。
研修目的の達成度合いを知るためには、研修効果の見える化が必要です。研修の結果、どの社員がどの程度まで目的を達成しているかを知ることができなければ、社員ごとの効果的な育成につながりません。
達成度合いを知ることは、管理者だけではなく、研修を受けた本人にとっても大切なポイント。自己の成長を知ることで、業務意欲の向上へとつながるからです。
研修への投資効果を測るためにも、研修効果の見える化は不可欠となるでしょう。
研修を実施するためには、システムの導入を含めた各種の投資が必要となります。研修システムを運用するための人件費もかかるでしょう。
これら投資の費用対効果を測るためには、研修効果の見える化が必須。見える化した結果、費用対効果が高いと判断できれば同じ流れで研修を継続し、逆に費用対効果が低いと判断できれば、研修システムの見直し等へ役立てられます。
研修効果の見える化は、研修を受けた社員のモチベーションを高めることにも役立ちます。
社員は、研修を受けることで自分のスキルを上げたいと考えていますが、研修を受けても結果が見える化していなければ、スキルが上がったのかどうか判断できません。もし、見える化を通じて自分のスキルが着実にアップしていることを確認できれば、次なる研修でよりスキルを高めたいというモチベーションにつながります。
研修の受講によるスキルアップと人事評価とを関連づければ、さらなるモチベーションアップにつながるかもしれません。
見える化された研修効果に基づき上司などから評価される経験を積むことで、研修を受けた社員は成長するために必要なものを自ら模索しはじめます。
研修受講後の効果を自己評価するのみでは、社員は会社方針と異なる偏った方向へ成長するかもしれません。正しい方向へ社員を成長させるためには、研修効果に基づいて上司などから適切な評価や改善指導を受け、社員自らが正しい方向へ向けて成長していくよう導くことが大切です。
研修効果を見える化して評価するためには、いくつかの課題を避けられません。以下でご紹介するような課題を理解し、評価に向けた適切な準備を進めていくようにしましょう。
研修の種類によっては、直後からその効果が見られることはあるものの、多くの研修は、その効果が見られるまでに比較的長い時間を要します。1度の研修だけでは効果が現れにくいこともあるため、研修効果があったと評価するまでには複数回の研修を要することもあるでしょう。
また、研修後のデータ収集やデータ分析にかかるコスト、および、研修システムの導入コストや運用にかかる人件費など、研修には様々なコストがかかることも理解しておかなければなりません。
研修のテーマによっては、評価基準の設定が難しいこともあります。たとえばコミュニケーション研修を実施した後、どのような基準で研修効果を評価するべきか、上司や担当者は頭を悩ませるかもしれません。
評価基準の難しい研修テーマについては、事前に客観的な評価基準を細かく用意しておくことが大切です。コミュニケーション研修の例でいうと、「表情や目線が豊かになったかどうか」「しゃべり方が聞き取りやすくなったか」「適切に敬語を使えるようになったか」「メールへのレスポンスが早くなったか」などです。
なお、評価基準の難しい研修の効果を測定する場合には、評価者の主観を排除するために複数の評価者を設定することが大切です(多面評価)。
研修効果を見える化することの必要性、および、研修効果を評価する際の課題について解説しました。
研修効果を測定して見える化すれば、研修内容を定期的にアップデートできる点でも大変役立ちます。ただし、限られた人的資源で一連の研修業務を遂行し続けることは、なかなか簡単ではありません。
そこで「重要性は理解しているものの、自社での実行は難しい」とお考えの企業様は、LMSに注目してみてください。LMSには、受講者ごとの研修・eラーニングのテストを一括で行うシステムが搭載されている上、その結果を即座に集計・グラフ化する機能も搭載されています。人的資源が限られた企業様でも、LMSの導入で研修の効率化、見える化を容易に行うことが可能となるでしょう。
導入に関心のある方は、以下のページを参考にしてみてください。
学習管理システム(LMS)は、使用目的や使用人員規模を踏まえて製品を選ぶことが重要です。本メディアでは、数ある学習管理システム(LMS)の中から、「増員予定の成長企業」と「小規模で使いたい企業」におすすめのシステム2選をご紹介。
運用方法や使用規模で各システムを比較していますので、ぜひご覧ください。
学習管理システム(LMS)は機能や特徴だけでなく、使用目的や使用人員規模を踏まえて適切な製品を選ぶ必要があります。 ここでは運用方法や使用規模からそれぞれのパターンに合った学習管理システム(LMS)をご紹介。 各製品・サービスの強みやこだわりについてまとめていますので、参考にしてください。